日本の再エネ比率は?第7次エネルギー基本計画(案)

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はじめに

エネルギーは、私たちの生活や社会の成長を支える重要な基盤です。日本では、エネルギー供給の安定性や環境への影響を考慮し、持続可能な社会を実現するために新しいエネルギー計画を立てています。この第7次エネルギー基本計画は、効率的なエネルギー利用を図りながら、再生可能エネルギーや原子力の活用を促進するものです。本記事では、この計画の詳細をわかりやすく解説し、私たちが未来のためにできる具体的な行動について提案します。


エネルギーの現状と課題

世界的なエネルギー事情

世界では、戦争や地政学的な問題によるエネルギー価格の上昇や供給の不安定化が課題となっています。そのため、再生可能エネルギーの導入が急速に進んでおり、ヨーロッパではロシア産エネルギーへの依存を減らす取り組みが進展しています。

一方で、新興国ではエネルギー需要が急増しており、化石燃料への依存が続いています。これにより、地球温暖化やエネルギー価格の変動といった地球規模の問題が深刻化しています。

日本の課題

日本はエネルギーの約80%を外国から輸入しており、自給率はわずか20%程度と先進国の中で最低水準にあります。2011年の震災以降、原子力発電所が停止し、火力発電への依存が増えた結果、温室効果ガスの排出が増加し、貿易赤字が拡大しました。

今後、日本がエネルギー問題を克服するためには、再生可能エネルギーの普及促進や新技術の導入が必要です。また、国民一人ひとりが省エネルギーを心掛けることも重要です。


第7次エネルギー基本計画の概要

第7次エネルギー基本計画は、日本のエネルギー政策の指針を示す重要な計画です。以下に主要な目標を紹介します。

2040年の目標

  • 温室効果ガスの削減: 2030年までに2013年比で46%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成します。
  • 再生可能エネルギーの拡大: 2040年までにエネルギー供給の50%以上を再生可能エネルギーでまかないます。
  • 原子力発電の安全利用: 次世代型原子炉を導入し、安全性を確保しながらエネルギー供給の安定性を高めます。
  • 国際協力の強化: 再生可能エネルギーや水素技術を国際的に共有し、地球規模でのエネルギー問題解決に貢献します。
  • エネルギー価格の安定化: 家庭や企業の負担を軽減するため、コスト効率の高いエネルギー供給を目指します。

日本の未来の電力供給

再生可能エネルギーの拡大

日本は太陽光や風力発電を中心に、地域特性に応じたエネルギー源を活用しています。たとえば、北海道や九州では風力発電が進み、都市部では屋上太陽光パネルの設置が増えています。また、蓄電池技術の導入により、余剰電力の保存と効率的な利用が可能になっています。

さらに、農業とエネルギーを組み合わせた「ソーラーシェアリング」も注目されています。これにより、農地を活用しながら再生可能エネルギーを生産することができます。

原子力発電の役割

地震や津波に強い新型原子炉の導入を進め、安全性と効率性を両立させる取り組みが進行中です。また、廃棄物処理の技術開発や国際協力を通じて、原子力発電の信頼性を向上させています。

さらに、日本の原子力技術を海外に提供することで、新興国のエネルギー需要を支える動きも見られます。

火力発電の脱炭素化

火力発電では、水素やアンモニアを燃料に利用することで二酸化炭素排出量を削減する計画です。これに加え、CCUS(炭素回収・利用・貯留)技術の導入により、火力発電の環境負荷を大幅に低減することを目指しています。


再生可能エネルギーと他の発電方法の比較

環境とコストの視点から

エネルギーの種類再エネ比率 (%)二酸化炭素排出量 (g/kWh)コスト (円/kWh)
再生可能エネルギー50%2010
火力発電30%30015
原子力発電20%1012

この表から、再生可能エネルギーは環境負荷が低く、コスト競争力があることがわかります。一方で、火力発電は環境への影響が大きい課題を抱えています。

また、ヨーロッパでは再生可能エネルギーが70%以上を占める国もあり、日本もこれらの成功例から学ぶべきです。しかし再生可能エネルギーは自然環境に依存するため、安定した発電が可能ではなく、発電し過ぎた場合は電力を捨てている場合もあります。その点火力発電は安定しています。これらを加味し、バランスよく考えることが大事です。


エネルギーの効率的な利用方法

日常生活での取り組み

  • 省エネルギー家電を選ぶ。
  • 再生可能エネルギーを利用する電力プランに切り替える。
  • 使わない電気をこまめに消す。

地域社会での協力

自治体が主導して再生可能エネルギーの導入を進めるほか、地域全体でエネルギーを共有する仕組みを整備します。

企業での取り組み

製造過程でのエネルギー効率向上や、再利用可能な資源の活用が進んでいます。これにより、企業全体の環境負荷を低減する努力が続けられています。


結論: 持続可能な未来への行動

第7次エネルギー基本計画は、持続可能な社会の実現に向けた日本の大きな一歩です。私たち一人ひとりが省エネルギーや再生可能エネルギーの利用を意識し、行動に移すことが重要です。

さらに、この計画は日本だけでなく、世界全体の環境問題解決にも貢献します。未来のために、私たち全員が協力してより良い社会を築いていきましょう。

ちなみに今回取り上げた第7次エネルギー基本計画はまだ(案)の状態です。経済産業省はこの案に対して皆さんからの意見を募っています。(2025/1/8 現在)この記事を読んでくださった方、ぜひ意見をしてみませんか?(意見募集ページ)原案は参考文献にありますので、そちらもご一読ください!


参考文献

  1. 資源エネルギー庁, “2040年度におけるエネルギー需給の見通し”, 令和6年12月
  2. 資源エネルギー庁, “エネルギー基本計画(案)”, 令和6年12月
  3. 国際エネルギー機関 (IEA), “World Energy Outlook 2024”, 2024年10月