はじめに
みなさん、スマホって毎日使いますよね。その中でもiPhoneは、見た目のかっこよさや便利さだけでなく、環境への優しさも考えて作られているんです。今回は、iPhoneのバージョンでどのように違うのか、Appleがどうやって地球を守るためにがんばっているのか、そしてiPhoneがどんな工夫で環境に良い影響を与えているのかを、簡単に説明していきます。

スマートフォンは今や私たちの生活の一部となっていますが、その背後には膨大なエネルギー使用や環境負荷があります。例えば、スマートフォン1台を製造する際には平均して70kgの二酸化炭素が排出されるとされており、これは小型車を数十キロ走らせるのに匹敵します。さらに、年間で世界中のスマートフォンの製造が引き起こす排出量は数億トンに上ります。Appleがどのようにその負荷を減らそうとしているかを知ることは、私たちが製品を選ぶ際の指針にもなります。
iPhoneを作るときの環境への影響を調べる方法
AppleはiPhoneを作るとき、その影響を全部調べています。その方法をLCA(ライフサイクルアセスメント)といいます。LCAでは、iPhoneが作られてから使われ、最後にリサイクルされるまでのすべての段階で、どれくらい地球に負担をかけるかを計算します。

LCAで調べるポイント
LCAで調べるのは、以下のようなことです:
- 材料を取るときに地球にどれくらい負担がかかるか(例:アルミニウムの採掘には平均して1トン当たり9トンのCO2排出が発生)
- 工場でiPhoneを作るときにエネルギーをどれくらい使うか(例:製造1台当たり約60kgのCO2排出)
- iPhoneを世界中に届けるときにどれくらい二酸化炭素が出るか(例:輸送1台当たり約5kgのCO2排出)
- 人が使っている間の電力消費(例:年間使用で1台当たり20kWh)
- 古くなったiPhoneを処分するとき(例:埋立処分時には約2kgのCO2排出)
こうした情報をもとに、Appleはどうすればもっと地球にやさしいiPhoneを作れるかを考えています。これにより、製造プロセスから廃棄段階までの環境負荷を可視化し、改善のための具体的な目標が設定されています。
グラフで分かる環境負荷の変化
一番負荷の大きなiPhoneバージョンは?

このグラフは、iPhoneのバージョンごとのGHG(温室効果ガス)排出量が大きい順に並んでいます。一番環境への負荷が大きかったのは、iPhone 6でした!この結果を見ると、新しいモデルほど必ずしも環境負荷が小さいわけではないことが分かります。
iPhone 6のGHG排出量が高い理由は、以下の点が挙げられます:
- 効率的なエネルギー技術の不足:このモデルが製造された時点では、エネルギー管理技術がまだ十分に進化していませんでした。
- サプライチェーンにおける再生可能エネルギーの制限:製造時には、再生可能エネルギーの利用が限定的でした。
これらの要因により、iPhone 6のGHG排出量は他のモデルと比べて高くなりました。このような背景を通じて、モデルごとに環境負荷が異なる理由が明確になります。
ちなみに私は今だXを使っています…。まさかの6番目です。しかし、長く使い続けているので良いと勝手に思い込んでます。皆さんのスマホはどうでしたか?
ライフステージごとのGHG排出割合を比較

このグラフはiPhoneの発売順に並んでおり、それぞれのライフステージ(製造、使用、輸送など)ごとのGHG排出割合を積み上げ棒グラフで示しています。具体的には、初期モデルであるiPhone 3や4では、エネルギー効率が低いため使用段階での排出量が多く、全体の排出割合の中で相対的に製造段階の影響が小さく見えます。一方、最新モデルではエネルギー効率が大幅に向上し、使用段階の排出量が減少した結果、製造段階の割合が相対的に大きくなっています。また、折れ線グラフは合計排出量を示しており、モデルによって上下する特徴が見られます。これらのデータから、技術の進化が環境負荷の構成にどのように影響しているかが理解できます。
- 3や4の時代のiPhoneでは、エネルギー効率が悪かったため使用段階の排出量が多く、結果的に製造段階の割合が低く見えます。
- 一方、最新モデルではエネルギー効率が改善され、使用段階の排出量が削減されたため、製造段階の割合が相対的に大きくなっています。
また、グラフにある折れ線はiPhone全体の合計GHG排出量を示しており、わずかですが右肩上がりの傾向があります。ただし、バージョンによって排出量には大きな差があることが分かります。例えば、初期のモデルでは技術が限られていたため、エネルギー効率が低く、結果的に合計排出量が高めでした。一方で、最新モデルでは製造段階のエネルギー使用量が増えているものの、使用段階の排出量が大幅に削減されることで全体的な排出量はコントロールされています。この変動は、各モデルの設計方針や技術進化、製造プロセスでの改善度合いが直接的な要因となっています。また、製造段階と使用段階の排出割合が逆転しているモデルもあり、これは特にエネルギー効率が大幅に改善された時期に見られる傾向です。これにより、技術の進化が環境負荷に与える影響をより深く理解することができます。
さらに、このグラフからAppleのエネルギー効率化への取り組みがモデルごとにどのように進化しているのかも読み取れます。最新モデルでは再生可能エネルギーの使用が増加しているため、サプライチェーン全体でのGHG排出削減が実現されています。
iPhoneの材料とリサイクルの工夫
iPhoneは地球にやさしい材料で作られるようになってきています。また、リサイクルにも力を入れています。
リサイクル素材の使い方

iPhoneでは、以下のようなリサイクルされた材料が使われています:
- アルミニウム(外側)
- レアアース(金属部品)
- 銅(内部の配線)
これにより、新しく材料を取るために地球を傷つけることが減っています。リサイクルされた材料の使用は、地球資源の枯渇を防ぐだけでなく、材料を新しく加工する際に必要なエネルギーを削減することにもつながります。
特別なリサイクルロボット
Appleは”Daisy”というリサイクルロボットを作りました。このロボットは、古いiPhoneを分解して、中の貴重な部品を取り出すのが得意です。Daisyが活躍することで、材料の再利用がもっと進むようになっています。

このロボットの精度は非常に高く、従来のリサイクルプロセスでは回収が難しかった部品や希少金属を効率よく取り出すことが可能です。また、Daisyを活用したリサイクル技術は、Apple以外の企業にも応用できる可能性があり、業界全体のリサイクル率向上に寄与しています。
Appleの気候変動への取り組み
Appleは「地球に優しい会社」であることを目指しています。そのために、気候変動を防ぐためのいろいろな計画を立てています。

再生可能エネルギーを使う
Appleは、自分たちの会社や工場で100%再生可能エネルギーを使っています。それだけでなく、iPhoneを作る部品を供給している会社にも再生可能エネルギーを使ってもらうように働きかけています。
Appleはまた、再生可能エネルギープロジェクトへの大規模な投資も行っています。具体的には、中国内モンゴル自治区の太陽光発電プロジェクトやアメリカ合衆国のカリフォルニア州にある風力発電プロジェクトなど、世界中で合計500メガワット以上の再生可能エネルギーを生み出す取り組みを進めています。この取り組みの一環として、さらに新たな太陽光発電所の建設や風力発電設備の導入も計画されています。これにより、iPhoneを製造するための電力がすべてクリーンエネルギーから供給されることを目指しています。
森林を守る活動
Appleは、地球の二酸化炭素を吸収する役割を持つ森林を守るためにお金を出しています。また、新しい木を植える活動もしています。これにより、二酸化炭素の削減に貢献しています。
さらに、森林保護活動では地域コミュニティと連携し、持続可能な森林管理を推進しています。この活動は環境保護だけでなく、地域経済の活性化にも寄与しています。
他のスマホメーカーへの影響

Appleの環境への取り組みは、他のスマホメーカーにも影響を与えています。他のメーカーも、環境にやさしい材料を使ったり、リサイクル技術を開発したりするようになっています。これにより、スマホ全体が地球に優しくなってきています。
特に、競合メーカーがAppleの取り組みに追随する形で、新たなリサイクルプログラムやエネルギー効率化技術を導入する事例が増えています。これにより、業界全体での持続可能性が向上しています。
まとめ
Appleは、iPhoneを作るときに地球への影響を最小限に抑えるために多くの工夫をしています。リサイクル素材を使ったり、エネルギーの使い方を工夫したりすることで、環境負荷を減らすことに成功しています。これからもAppleの取り組みが進むことで、私たちが使うスマホがもっと地球に優しいものになることが期待されています。
Appleの活動は、単なる製品開発にとどまらず、私たちの未来に大きな影響を与えるものです。環境負荷を減らす努力が続けば、スマートフォン業界全体が持続可能な発展を遂げることでしょう。
付録
今回記事作成に当たりまとめたデータを共有します!ぜひ新たな視点で分析をしてみてください。面白いことが分かりましたらぜひ教えてください!
こちらのデータを使用される際は自己責任でよろしくお願いたします。またデータ執筆当時(2025/1/9)のものであり、最新版はご自身でご確認ください。
シリーズ | 合計(kgCO2-eq) | 製造 | 輸送 | 使用 | 廃棄・リサイクル |
3GS | 55 | 45% | 5% | 49% | 1% |
3G | 55 | 45% | 5% | 49% | 1% |
4 | 45 | 57% | 8% | 34% | 1% |
4S | 55 | 60% | 7% | 31% | 2% |
5 | 75 | 76% | 4% | 18% | 2% |
5s | 65 | 80% | 5% | 14% | 1% |
5c | 50 | 60% | 4% | 25% | 2% |
6 | 95 | 85% | 3% | 11% | 1% |
6s (32GB) | 54 | 80% | 3% | 16% | 1% |
6s Plus(32GB) | 63 | 78% | 3% | 18% | 1% |
SE 第1世代(32GB) | 45 | 83% | 4% | 12% | 1% |
7 Plus(32GB) | 67 | 78% | 3% | 18% | 1% |
7(32GB) | 56 | 78% | 3% | 18% | 1% |
8 Plus(64GB) | 68 | 79% | 3% | 17% | 1% |
8(64GB) | 57 | 80% | 3% | 16% | 1% |
X(64GB) | 79 | 80% | 2% | 17% | 1% |
XR(64GB) | 62 | 76% | 4% | 19% | 1% |
Xs(64GB) | 70 | 81% | 3% | 15% | 1% |
Xs Max(64GB) | 77 | 79% | 3% | 17% | 1% |
11(64GB) | 72 | 79% | 3% | 17% | 1% |
11 Pro(64GB) | 80 | 83% | 3% | 13% | 1% |
11 Pro Max(64GB) | 86 | 78% | 3% | 18% | 1% |
12 mini(64GB) | 64 | 85% | 2% | 12% | 1% |
12(64GB) | 70 | 83% | 2% | 14% | 1% |
12 Pro(128GB) | 82 | 86% | 2% | 11% | 1% |
12 Pro Max(128GB) | 86 | 82% | 2% | 15% | 1% |
SE 第2世代(64GB) | 57 | 84% | 12% | 3% | 1% |
13 mini(128GB) | 61 | 85% | 2% | 12% | 1% |
13(128GB) | 64 | 81% | 2% | 16% | 1% |
13 Pro(128GB) | 69 | 84% | 3% | 12% | 1% |
13 Pro Max(128GB) | 74 | 80% | 4% | 15% | 1% |
14 Pro(128GB) | 65 | 81% | 3% | 15% | 1% |
14 Pro Max(128GB) | 73 | 79% | 4% | 17% | 1% |
15 Pro (128GB) | 66 | 83% | 3% | 15% | 1% |
15 Pro Max (256GB) | 75 | 83% | 3% | 15% | 1% |
SE 第3世代(64GB) | 46 | 82% | 4% | 13% | 1% |
14 (128GB) | 61 | 79% | 2% | 18% | 1% |
14 Plus (128GB) | 68 | 78% | 3% | 18% | 1% |
15 (128GB) | 56 | 80% | 3% | 18% | 1% |
15 Plus (128GB) | 61 | 79% | 3% | 18% | 1% |
16 (128GB) | 58 | 80% | 3% | 18% | 1% |
16 Plus (128GB) | 60 | 79% | 4% | 18% | 1% |
16 Pro (128GB) | 66 | 81% | 3% | 17% | 1% |
16 Pro Max (256GB) | 74 | 80% | 3% | 18% | 1% |